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座Interview vol.11 「「座る」と「運転」のプロが考えるシート」タクシードライバー・モデル・タレント 生田 佳那

「美人すぎるタクシードライバー」として話題の生田佳那さん。実際にタクシー会社所属の運転手として乗務しながら、モデル・タレントとして活躍中です。長いときには1日12時間近く運転するという“座るプロ”として、普段感じていることや悩み、そして理想のシートのことなど、お話を伺いました。

Profile

生田 佳那Kana Ikuta

“美しすぎる”とメディアやネットで話題沸騰中の女性タクシードライバー。運転手をしながらデビューを目指すことができる『飛鳥交通ドリームプロジェクト』で2014年のグランプリを獲得し、「飛鳥交通」の各種サポートを受けながら運転業務とタレント業に日々奮闘中。ルックスだけでなくドライビングテクニックもかなりの物で、都内の各所で真心を込めて走っています!

長時間の運転姿勢はやっぱりハード
解消するのが難しい痛みとの付き合い方

タクシードライバー・モデル・タレント 生田 佳那さん(その1)

タクシードライバーとタレント業は「どっちが本業?」ってよく聞かれるんですけど、私にとってはどっちも本業ですね。タクシーの方は、大学を卒業するときに今乗務している会社の募集を見つけたのがきっかけです。スケジュールの融通がきくので、ここで収入を得ながらモデルやタレントとしてのお仕事にも取り組めるんだって知って、応募しました。もともと運転するのはすごく好きでしたし。車の運転をしているときのスピード感って、他にはない感覚ですよね。

乗務を始めて1年半くらいになります。基本的には週に2日ほど乗っています。丸1日乗務する日もあれば、午前や夜に撮影や取材のお仕事が入るときもあります。1日乗る日は、途中休憩を挟みながらですが、だいたい10時間、長くて12時間ぐらい。私は日勤だけですが、会社の他のドライバーさんたちは「隔勤」といって、朝から20時間勤務で夜中まで乗って、翌日は1日休み、というスタイルが多いですね。

座っている時間が長いので、やっぱり体が痛くなるのが悩みです。辛いのはまず首。そして背中。あと膝と足首ですね。首と背中はほんとに痛くて、苦しいんです。いつもヘッドレストに付けられる枕と座布団を用意しています。膝と足首はずっとペダル操作をしているからで、集中的に辛くなるのは右足。赤信号で停まったときにシフトをパーキングに入れて、ペダルから足を離して動かしていますが、ほんの短い時間なので一気に楽にはなりませんね。あと信号待ちの間は手が空くので、腕をシートに回して体を伸ばしてみたり。日々小さなことの積み重ねで(笑)しのいでいる感じです。

パーソナライズできる座席が理想
車は共有してマイシートを持ち歩く時代に?

タクシードライバー・モデル・タレント 生田 佳那さん(その2)

休憩はドライバーごと好きなときにとって良くて、だいたい3時間に1回。お客様が途切れなく続いているときは長めに乗ったりしますが、それでも4時間運転したら休みます。他のドライバーさんは休憩で一回外に出てストレッチをするんですけど、私は制服でいるとコスプレだと思われちゃうみたいで(笑)、じろじろ見られるとちょっと恥ずかしいので、あまり外では思い切りストレッチできません。車内で何とかする派です(笑)。

理想のシートは、まずマッサージ機能付きですね。特に全面的に痛くなる背中を、運転に支障をきたさず常にほぐしてくれるシートがあったらもう最高です。あとは自分のシートの高さや前後の位置、硬さ、角度とかを全部メモリに入れておけば、勝手に調整してくれる機能も欲しいです。タクシーは1人1台じゃなくて会社の車を複数のドライバーでシェアしているので、毎回乗る車が変わるたびにシートを調整しないといけないので。

いっそ「シートにまるごとかぶせるシート」みたいなものがあればいいのかもしれませんね。高さとかはその人仕様にセッティングされていて、持ち運べて、乗る車の座席にスポッとかぶせるだけでベストの状態になるような。完全に夢の世界ですけど(笑)。座布団や枕もいりませんし。他のドライバーさんでも高齢の方はやっぱり腰が一番大変みたいで、腰のサポーターや姿勢を支えてくれる座椅子のようなものを使っているので、すごく助かると思います。これからカーシェアリングが広がって、一般のドライバーも他人と車を共有することが増えれば、すごくニーズがありそうですよね。

年代・性別でも違う「座る」への意識
精神面も含めたさらなるサポートを

タクシードライバー・モデル・タレント 生田 佳那さん(その3)

研究生の小島(中央)、梶原(右)と

運転中に座っていてちょっと困っているのは、ペダル操作に集中していると足が少しがに股に開いてしまうこと。乗っている間は気にならないのですが、体がクセみたいになっていて、タレント業の方でお仕事するときも無意識に膝が開き気味になっていることがあって「あぶない!」って(笑)。運転中もなるべく気をつけて膝を閉じようと思うんですけど、それはそれで難しいというか、かえってうまく操作できなくて危ないですし。男性は気にならないポイントだと思いますけど。

乗務しているエリアは渋谷や恵比寿が多くて、日勤で昼間が中心なので本当に幅広い方が利用されます。小さいお子さんと親子で乗る方、仕事中のビジネスマン、あとお年寄りも。座ることに関しては、高齢者の方はやっぱり乗り降りに苦労されています。「お手伝いしましょうか」って私も外に出ていくんですけど、皆さん「大丈夫、大丈夫」って。大変で時間もかかるけどなるべく自分でやりたい、という気持ちが強いんだと思います。そういうときは必ず「ゆっくりで大丈夫ですよ」ってお声がけします。するとすごく安心していただけます。高齢の方はまず横向きになってお尻を一回座席に置いてから、体を回して足を車の中に入れることが多いので、お尻を置いたらあとは自動で回転してくれるような、お年寄りの乗り降りをサポートできるシートがあるといいですよね。

運転中の疲れや痛みは、緊張の度合いでも違う気がします。実車中は体にも気持ちにも全部力が入っている状態で、空車のときもどこでお客様に合図されるかわかりません。その緊張の中で運転している間はあまり痛みなどを感じなくて、乗務が終わったり休憩したりしたときにどっとくる感じです。プライベートで運転するときは、「お客様に見られている」と意識することがないのでもっと自由な姿勢をとることができますし、友達と一緒だと緊張感もやわらぐのでだいぶ楽ですね。何かリラックスできる要素があるといいのかもしれません。私が癒されるのは、実家にいる毛のフカフカした犬なんですけど、あのモフモフを感じながら運転できるシートがあったら、最高に幸せですね(笑)。